患者さんから質問され、わからないことがあったときに調べる間の会話がうまくいかない。
先輩は世間話などをしながら場を和ませるのが上手なのに自分は無言になってしまう。
このようなことで悩みを持つ薬剤師さんがいるようですが、患者さんにとって一番大切なのは自分の質問に早く的確に答えて欲しいということです。
決して世間話をしたいわけではありません。
結論からいえば、無理に世間話をする必要はありません。
調べ物をしながら雑談をすることができれば確かに間は持ちますが、それによって調べることに時間が余計にかかったり集中できず目的の答えがなかなかみつからなのであれば本末転倒です。
パソコンを操作しながら、あるいは資料を目で追いながら雑談もできる器用な人もいるかもしれませんが、この場合の薬剤師としての務めは無理に会話をすることではなく、患者さんの質問に適切に回答することのはずです。
だとすれば、黙々と集中して調べ物をする姿は、世間話をして間を持たせるよりずっと信頼が置けるとおもいます。
接遇とは心を込めて対応することです。
雑談でリラックスしてもらうのもおもてなしに違いありませんが、患者さんの疑問や悩みに寄り添い、質問に答えて役立つ情報を提供するために努力することも患者さんへのおもてなしのはずです。
薬剤師が集中して調べる環境をつくる
調べている最中に無言になって沈黙がいたたまれないと感じるのであれば「お調べしますので、おかけになってお待ちください」と患者さんに声をかけ集中して調べる環境を自分からつくってしまうのもひとつの方法です。
患者さんと距離をおいて、調べ物に集中することで、短時間で答えが見つかるのであれば、その方が作業効率も高まりますし、何より患者さんのためにもなります。
人によって受け取り方はさまざまですが、一生懸命集中して調べる姿を好印象ととらえてくれる人も少なからずいるはずです。
ちなみに薬剤師にとって「調べる」ことも重要なスキルです。
日々新しい情報が入ってくる中で、薬や医療に関する全ての情報を完璧に暗記しておくことはほぼ不可能です。
そのような状況の中で、いかに素早く、目的の情報にたどり着けるか。
どこを調べれば求める情報が素早く手に入るのかを瞬時に判断できれば、調べる時間も患者さんをお待たせする時間も大幅に短縮できます。
調べものをしている時間は、患者さんの貴重な時間の一部という意識を常に持ち、少しでも早く情報を提供できるよう尽力する。
「調べているこの間をどうやって持たせよう」とあれこれ悩むより、よほど患者さんに喜んでいただけると思います。