処方された薬に対して「効いてない気がするからいらない」と言う患者さんへの応対に困ることはありませんか?
「患者さんがいらないと言うので」と処方医に伝えるのもどうかと思いますよね。
このような時、薬剤師はどう対応すればいいいのでしょう。
「患者さんがいらないといってます」と医師に伝えるのでは薬剤師の役目が果たせていないと言えるでしょう。
患者さんの言葉を受けてなぜ飲みたくないのか、という理由を引き出すことこそ薬剤師の仕事です。
「効いていない気がする」と言われたら、まずどうしてそう思うのかを詳しく聞いてみましょう。
例えば高血圧や糖尿病の治療を続けていて、正常値を維持できている患者さんが数字が安定していることを「変化がない=効いていない」と事故判断しているということもあります。
継続服用の場合、1回や2回の飲み忘れで急に症状が悪化することはほとんどないため、「すっかり良くなった」「もう治った」と思ってしまう患者さんも少なくありません。
患者さんのこのような考えを引き出せたら「症状や数値が安定しているのは薬が効いている証拠です」と継続服用による効果であることを説明しましょう。
薬を飲み続けることの大変さを思いやって「薬を続けるのを面倒に感じることもあると思いますが、飲んでいるからこそ症状が落ち着いているのでこのまま続けて下さい」と納得してくれるまで説明します。
また、薬代が高くなるのを気にしている場合も考えられます。
一度だけならともかく服用が長く続くと困る、と感じて不安に思っているのかもしれません。
患者さんの意向を汲み取ることができればジェネリック医薬品や代替薬を提案するなど医師と相談して対策を考えましょう。
薬剤師から医師へ情報提供する
長期服用の患者さんの場合、飲み忘れなどで残薬が溜まっているケースも少なくないと思います。
飲み忘れがわかると、医師に叱られるのではないかと考える患者さんは多いもの。
そのため、医師に直接言わず薬局で「いらない」というのです。
そこで「飲み忘れがないように、きちんと説明できなくて申し訳ありません」と薬剤師の側から言えば、患者さんは自分が責められるのではないかという不安から解放されます。
その上で残薬の数量を確認して医師に残薬の報告と処方変更の相談をするといいでしょう。
ここで大切なのはどうして飲み忘れてしまうのか、といった理由を考えること。
例えば朝食を食べないという患者さんは「毎食後」の朝の分を忘れる可能性が高くなります。
処方は勝手に変えられないから医師に直接言って欲しいと思わず、薬剤師に相談してくれる患者さんの気持ちを汲んで「飲みたくない理由」を一緒に考えれば解決策が見えてきます。
飲み忘れの理由などがわかり、治療に影響を及ぼすと考えられる場合は、速やかに医師に情報提供します。
患者さんから生の情報を引き出し、医師にフィードバックすることで患者さんと医師とのコミュニケーションをサポートすることになります。
的確な情報提供は医師が薬剤師を信頼するきっかけにもなるのです。